痰吸引の手引き
準備:@バイタルサイン(血圧、脈拍、体温)測定、
可能であればSpO2のモニタリング
術前術後に測定し、異変がないかチェック
人工呼吸器患者の場合は最高気道内圧もチェック
Aマスク、手袋を着用。
(手袋は滅菌手袋である必要はないが、術者の体に付いている菌をうつさない)
方法:経口、経鼻 カテーテルに潤滑を与えた後に挿入。吸引止めておく。
咽頭で止め(経鼻10cmくらい)、吸期に合わせてすすめる
これをくりかえすと気管にはいる(咳嗽反射:せき込む)。
咳嗽反射みられたら吸引を開始する。
気管挿入困難な場合は咳嗽により咽頭まで上がった
痰を吸引。
経気管カニュレ かならず気管から吸引できる。
深くいれすぎたり、乱暴にいれて気管支を傷つけない
注意点: 術者の菌を感染させない。(人の地肌に菌はついています!)
気道出血に注意。(出血による窒息で致命的になる可能性もありうる)
吸引により気道内の酸素も吸引される。肺胞が虚脱する。
したがって1回の吸引時間を長くとらない。休みを入れて再開。
手袋は紙つきで一つずつ分かれているタイプが
清潔に着用しやすくおすすめです。
箱にまとめて入っているタイプの着用は
攝子(ピンセット)を用いて取り出しましょう。
長期臥床、左慢性完全無気肺、右気道出血患者に
対する気管支鏡を用いた出血源の同定と痰吸引指導。
在宅患者 男性
疾患 #筋萎縮性側索硬化症 #糖尿病 #貧血 #左無気肺
#気道出血
在宅人工呼吸管理、胃瘻による経管栄養管理
問題点: 左完全無気肺、気道出血、糖尿病による易感染性
CT上は左無気肺、右S10(一部S7)に浸潤影を認める。
youtubeで見る
在宅気管支鏡検査にて右B7とB10入口部に発赤を認め
CT所見と合わせ出血源と考えられた。
気管カニューレの入り口から肺底区入口部までの距離は
15cm超でありカテーテルの挿入はカニューレより12pを
超えないよう指導を行った。
その後は著明な気道出血は見られていない。
現在、介護福祉士に認められている痰吸引はカニューレ内
の吸引のみです。今回の指導により介護福祉士にカニューレ
を超えた気管吸引を行うよう指示をしたわけではありません。
ただし咳嗽反射がほとんどみられず痰の自己喀出が期待
できないこのようなケースでは気管切開カニューレ内だけの
吸引を行うことは無意味であることも説明しました。